「毎月の顧問料が高い気がする、でも何から手をつければいいかわからない」——私がそう感じたのは、2026年に自身の法人を設立して半年が経った頃のことです。AFPとして経営者の税務相談に関わってきた立場でも、いざ自分が依頼者になると、税理士への不満や顧問料の高さに対して適切な対処ができていないと気づきました。この記事では、1人社長が顧問料の相場を把握し、値下げ交渉・乗り換えで月額1万円を下げるまでの実体験を具体的に解説します。
顧問料が高いと感じる3つの原因と相場の正確な把握
「なんとなく高い」から脱却する:原因を3つに分類する
顧問料への不満は、多くの場合「なんとなく高い」という漠然とした感覚から始まります。しかしその原因を整理すると、大きく3つに分類できます。
第一はサービスとコストのミスマッチです。月次訪問や電話相談が含まれているのに、実際にはほぼ連絡が来ない。そういった場合、提供されているサービスに対して料金が見合っていないと感じます。第二は契約内容の不透明さです。「月額顧問料」に何が含まれるのか明文化されておらず、決算時に別途費用が発生して驚くケースです。第三は相場観のズレです。そもそも自社の規模・売上に対して、支払っている顧問料が市場水準と乖離している場合です。
私が2026年に法人を設立した直後に契約した都内の税理士事務所も、月額3万5,000円という提示でした。保険代理店時代に担当していた経営者クライアントの顧問料水準を知っていたため、「これは1人社長にしては高い水準かもしれない」と直感しました。
1人社長の顧問料相場:売上規模・作業量別の目安
国税庁の調査や業界団体の公表資料、そして私自身が複数社から取得した見積もりをもとにすると、1人社長・年商1,000万円未満の法人における顧問料の相場感はおおむね以下の水準です。
- 記帳代行なし(自社で会計ソフト入力)+月次確認:月額1万5,000円〜2万5,000円
- 記帳代行あり+月次訪問・電話相談対応:月額3万円〜4万5,000円
- 決算・申告料(別途):6万円〜15万円程度(規模・複雑性による)
重要なのは、記帳代行の有無で月額が1万円以上変わるという点です。私の場合、freeeを導入して自社で仕訳入力を行う体制を整えてから再交渉に臨みました。「記帳代行不要」に切り替えることで、交渉の根拠が明確になります。個別の事情により顧問料は大きく異なりますので、最終的には複数社への見積もり取得と税理士への直接確認を推奨します。
私が4社を比較して月1万円下げた実体験5ステップ
ステップ1〜3:現状整理・相場調査・交渉準備
2026年の法人設立後、私が最初にやったのは「自社の税務上の複雑性の棚卸し」です。インバウンド民泊事業は消費税法上の課税関係が複雑で、訪日外国人向けの収益構造があるため、適当な税理士には頼めないという判断がありました。一方で、売上規模は設立直後であり、法人税法上の所得が限定的な段階でした。
ステップ1は、現在の契約書を読み直して「何が含まれているか」を一覧化することです。私が確認すると、月次訪問が契約に含まれていたにもかかわらず、実際には四半期に1回しか来ていなかったことが判明しました。
ステップ2は、税理士紹介エージェントを活用した複数社への見積もり依頼です。都内の税理士事務所4社に条件を揃えてメールで見積もり依頼を送り、回答を比較しました。同じ条件(年商500万円未満・記帳代行なし・決算申告込み年間パッケージ)でも、月額1万8,000円〜3万5,000円という大きな幅がありました。
ステップ3は、既存の税理士への交渉前に「交渉根拠となる事実」を整理することです。①実際の訪問回数が契約より少ない、②記帳代行を自社対応に切り替える、③他社の見積もり水準を把握済み、という3点を整理して交渉に臨みました。
ステップ4〜5:値下げ交渉の実際と乗り換え判断
ステップ4の交渉では、感情的な表現を一切使いませんでした。「先生のサポートには満足しているのですが、当社の規模と実際のサービス利用頻度を踏まえて、契約内容の見直しをお願いしたい」という切り出し方です。具体的には、「記帳代行を外すことで月額をどの程度調整できますか」と数字ベースで話を進めました。
結果として、担当税理士から月額2万5,000円への引き下げ提案が出ました。元が3万5,000円でしたから、月1万円・年間12万円の削減です。この交渉は1回の面談、約30分で完了しました。AFPとして経営者クライアントの費用交渉に立ち会った経験が、自分の交渉にも活きたと感じています。
ステップ5は「交渉が不調に終わった場合の乗り換え判断基準の設定」です。私は事前に「月2万5,000円以上には同意しない」という上限を決めていました。交渉が成立したため乗り換えには至りませんでしたが、乗り換えコスト(引き継ぎ期間・新税理士への説明時間・関係構築)を考えると、乗り換えは最終手段と位置づけるのが現実的です。
値下げ交渉で使った5つの伝え方と注意点
感情でなく「事実と数字」で交渉する技術
保険代理店時代、私は富裕層や経営者クライアントの保険料と税負担の最適化に関わる相談を多数担当してきました。その経験から断言できることがあります。専門家との交渉で最も有効なのは、感情的な不満の表明ではなく「事実と数字による根拠の提示」です。
私が実際に使った5つの伝え方を具体的に示します。①「契約上の月次訪問が実際にはX回だった」と事実を伝える、②「freeeで自社記帳に切り替えたため、記帳代行は不要になった」と作業変更を伝える、③「同条件で他社見積もりが月額○万円台だった」と市場水準を伝える(具体社名は出さない)、④「当社の売上規模・取引件数はこの程度」と業務量の客観的な整理を共有する、⑤「年間契約への変更でまとめ払い割引はあるか」とパッケージ提案を促す、という流れです。
この5つはすべて攻撃的でなく、税理士側が検討・回答しやすい形式になっています。不満を「高い」という一言で伝えるのではなく、根拠を持って「見直しの論点」を提示することが、交渉を成功させる鍵です。
交渉で失敗するパターンと回避策
一方で、値下げ交渉が逆効果になるケースも存在します。最も多いのは、比較先の税理士事務所名を出して「あそこは安い」と言ってしまうパターンです。これは税理士との信頼関係を損なう可能性があります。比較情報は「市場水準として」という形で伝えるにとどめるべきです。
また、決算・申告の直前期に交渉を持ち出すのも避けるべきタイミングです。税理士側が最も多忙な時期であり、冷静な交渉が難しくなります。交渉の適切なタイミングは、決算終了後の落ち着いた時期か、契約更新月の2〜3ヶ月前です。私の場合は3月決算・6月交渉というスケジュールで臨みました。税理士の顧問料が安い危険性|1人社長が3社見積で気づいた5落とし穴
乗り換え判断の損益分岐点と税理士不満解消の考え方
乗り換えコストを正確に計算する
税理士の乗り換えには、金銭コスト以外にも「時間コスト」と「リスクコスト」が存在します。1人社長にとって、新しい税理士との関係構築・既存データの引き継ぎ・前任税理士への解約手続きは、決して小さな負担ではありません。
乗り換えの損益分岐点を考える際は、以下の3点を数値化することを勧めます。①月額の削減額×12ヶ月(年間削減額)、②引き継ぎ期間中に発生するダブルコストや自分の時間コスト(時給換算)、③新税理士との関係構築が完了するまでのリスク期間(税務調査対応・相談対応の質の一時的低下)。これらを比較して、年間削減額が乗り換えコストを明確に上回る場合に、乗り換えを選択するのが合理的です。
私が複数社見積もりを取った結果、既存税理士との交渉成立により乗り換えを回避できました。しかし、交渉が不調に終わった場合は月額差額が年間15万円以上になる見通しでしたので、乗り換えを実行していたと思います。
「税理士への不満」を整理する3つのカテゴリと解決策
税理士への不満は顧問料だけではありません。私がこれまでAFPとして関わった経営者クライアントの声や、自身の経験を総合すると、不満は主に3カテゴリに分類されます。
第一は費用面の不満(顧問料が高い・追加費用が不透明)。これは今回解説した交渉・乗り換えで対処できます。第二は対応品質の不満(連絡が遅い・相談に乗ってくれない)。これは契約書のSLA(対応期限)を明確化するか、対応の良い税理士への乗り換えで解決します。第三は専門性への不満(業種特有の税務に詳しくない・節税提案がない)。これは最も深刻で、税理士の専門領域ミスマッチを解消するには乗り換えが最善策となることが多いです。建設業特化の税理士選び|1人社長が3社面談で見極めた5基準
私のインバウンド民泊事業では、消費税法上の判定・外国人観光客との取引における源泉徴収の取り扱いなど、一般的な税理士が不慣れな論点が複数あります。そのため、専門性の確認は税理士選びで最も重視した条件でした。顧問料の高安だけでなく、専門性との総合的なバランスで判断することを推奨します。個別の税務判断は必ず担当税理士または所轄税務署にご確認ください。
まとめ:1人社長が今日から動ける顧問料対処5ステップとCTA
行動チェックリスト:顧問料の不満を解消する5つのアクション
- Step1:契約書を読み直す——月次訪問・記帳代行・電話相談など、契約内容と実態のギャップを一覧化する
- Step2:相場を調べる——自社の売上規模・記帳体制・業種の複雑性をもとに、市場の顧問料水準を複数社見積もりで把握する
- Step3:交渉根拠を整理する——「記帳代行の有無」「実際のサービス利用頻度」「他社水準」の3点を事実ベースで整理する
- Step4:決算後に交渉を申し込む——感情ではなく事実と数字で、契約見直しを依頼する。期待する着地点(月額目安)を事前に決めておく
- Step5:交渉不調なら乗り換えを検討する——年間削減額と乗り換えコストを比較し、専門性・対応品質も含めた総合判断で新たな税理士を探す
税理士の顧問料に対する不満や高さへの対処は、感情的になるのではなく、事実を整理して根拠ある交渉をすることが最短ルートです。私自身、AFPとして数字を扱ってきた経験があっても、最初は「言い出しにくい」という感覚がありました。しかし実際に動いてみると、30分の面談で年間12万円の削減が実現しました。まずは契約書を開いて、サービス内容と実態のギャップを確認することから始めてください。
税理士探しを始める方へ:複数社比較で最適な顧問を見つける
現在の税理士に不満があるまま契約を続けることは、金銭的にも精神的にも非合理です。もし交渉が難しい、あるいは乗り換えを検討したいという場合は、税理士紹介エージェントの活用を強くお勧めします。自社の業種・規模・希望条件を伝えるだけで、複数の税理士候補を比較検討できる環境が整います。
私が4社に見積もりを取った際も、条件を統一して比較したことで、交渉の根拠が明確になりました。まず「比較できる状態を作ること」が、顧問料の不満を解消する確実性が高いな第一歩です。個別の税務判断・契約内容の適否については、必ず専門家にご確認の上で最終判断をお願いします。
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本記事は一般的な情報提供を目的としており、特定の投資・税務・法務行為を推奨するものではありません。記載内容は執筆時点の情報に基づきますが、最新情報や個別具体的な判断については、各分野の専門家(税理士・弁護士・宅建士・FP等)または公的機関にご相談ください。
【執筆・監修】
Christopher(AFP / 宅建士 / TLC)- 金融・不動産・法人実務の実体験ベースで執筆
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