中小企業の税理士顧問料の月額相場は、いくらが適正なのか。私はAFP資格を持ち、保険代理店時代に経営者の税務相談に関わってきましたが、いざ自分が2026年に法人を設立すると、「知っているつもり」と「実際に見積を取る」では大きな差があると痛感しました。この記事では、1人社長として都内の税理士4社から見積を取った実体験をもとに、法人税理士費用の内訳と選び方のリアルを解説します。
中小企業の税理士顧問料月額相場の全体像
月額相場の基準となる3つの軸
中小企業が税理士と顧問契約を結ぶ際の月額顧問料は、一般的に月額2万円〜8万円程度の幅があります。この幅が広い理由は、「年商規模」「訪問頻度」「記帳代行の有無」という3つの軸で料金が大きく変動するからです。
たとえば年商1,000万円未満・記帳自計化済みの1人社長であれば、月額2万〜3万円台の提案を受けることも珍しくありません。一方、年商3,000万円を超えて取引量が増え、月次の訪問相談を希望すれば、月額5万〜8万円に跳ね上がるケースもあります。小規模法人税務であっても、サービス設計次第で費用感は全く異なります。
重要なのは、月額顧問料だけで「安い・高い」を判断しないことです。決算料・申告料・年末調整料など、別途発生する費用を含めた年間総額で比較しなければ、本当のコストは見えてきません。
顧問料の相場に影響する「年商区分」の実態
多くの税理士事務所は、年商を基準とした料金テーブルを設けています。おおよその目安として、年商1,000万円未満では月額2万〜3万円台、年商1,000万〜3,000万円では月額3万〜5万円台、年商3,000万〜5,000万円では月額5万〜7万円台が一つの相場感です。
ただし、これはあくまでも参考値です。業種・法人形態・顧問契約の内容によって大幅に変わりますので、最終的な判断は必ず税理士に直接確認してください。法人税法・消費税法・所得税法といった複数の法体系が絡むため、自社の取引実態を正直に伝えた上で見積を依頼することが、適正価格を把握する唯一の方法です。
4社見積で判明した価格差の理由——1人社長の実体験
私が4社に見積を依頼した背景と各社の提示額
私がChristopher(AFP・宅地建物取引士)として2026年に都内で法人を設立した際、税理士選びで最初にやったことは「複数社への同条件での見積依頼」でした。資本金100万円、年商見込み1,000万円前後、従業員は私1人のみ、インバウンド民泊事業という条件を統一して、都内の税理士事務所4社に問い合わせました。
結果として提示された月額顧問料は以下のような分布でした。
- A事務所:月額3万円(記帳代行なし・訪問なし・メール対応のみ)
- B事務所:月額3万5,000円(記帳代行なし・四半期訪問1回)
- C事務所:月額4万5,000円(記帳代行あり・月次訪問1回)
- D事務所:月額5万円(記帳代行あり・月次訪問1回・給与計算込み)
月額だけ見れば2万円の差ですが、サービス内容を精査すると、A事務所とD事務所では提供内容がほぼ別物でした。税理士見積比較をするなら、金額の羅列ではなく「何が含まれているか」を一覧表で比較することを強くおすすめします。
価格差を生む「訪問頻度」と「記帳代行」の重み
4社の見積を並べて最も強く感じたのは、「訪問頻度」と「記帳代行の有無」が価格差の大半を占めているという事実です。月次で事務所に来てもらい、試算表を確認しながら経営判断の話ができる体制と、メールで決算前に書類を送るだけの体制とでは、経営者が得られる情報量がまったく違います。
保険代理店時代に富裕層や経営者の保険設計を担当していた頃、「顧問税理士と月1回話せる環境があるかどうかで、節税対策の検討スピードが全然違う」とよく聞かされました。節税効果が期待できる法人向け施策——小規模企業共済の活用、役員報酬の設定、経費の計上タイミングなど——は、日常的に税理士とコミュニケーションが取れる環境があってこそ、適切な判断が可能になります。あくまでも税務上の判断は税理士が行うものですが、「相談できる環境」の価値は月額差分以上にあると私は実感しています。
月額に含まれる業務範囲の内訳——顧問料だけで終わらない費用構造
月額顧問料に「含まれる業務」と「含まれない業務」
法人税理士費用の全体像を把握するには、月額顧問料の中身を分解する必要があります。多くの事務所では、月額顧問料に含まれる標準的な業務は「税務相談(メール・電話)」「試算表の作成・確認」「記帳指導」などです。一方で、以下の業務は別途費用が発生するケースがほとんどです。
- 決算書作成・法人税申告:月額顧問料の2〜4ヶ月分が目安
- 消費税申告:月額顧問料の1〜2ヶ月分が目安
- 年末調整(従業員がいる場合):1〜3万円程度
- 記帳代行(自計化していない場合):仕訳数に応じて月1万〜3万円程度
- 税務調査の立会い:別途見積が一般的
私が契約した事務所では、決算料として月額顧問料の3ヶ月分、消費税申告料として月額顧問料の1ヶ月分が別途かかりました。月額3万5,000円の契約であれば、年間の顧問料42万円に加えて決算料10万5,000円・消費税申告料3万5,000円が加算され、年間総額は56万円になります。月額だけを見ていると、年間コストを大幅に見誤ることになります。税理士の顧問料が安い危険性|1人社長が3社見積で気づいた5落とし穴
FP視点で見る「コストパフォーマンス」の考え方
AFPとして家計や法人のキャッシュフローを分析する立場から言えば、税理士費用はコスト一辺倒で考えるべきではありません。税理士に適切なサポートを受けることで、適正な申告ができ、税務調査リスクの軽減にもつながります。また、役員報酬の水準設定や経費の扱い方について早期に相談できれば、法人として適正な節税効果が見込まれるケースも多くあります(個別の事情により異なります)。
「月3万円の顧問料が高い」と感じるか「年間36万円で税務リスクをプロに管理してもらえる」と感じるかは、経営者の視点次第です。私自身は、後者の視点で顧問料の価値を判断しました。最終的な税務判断や節税策の適否については、必ず担当の税理士に確認することが前提ですが、「費用対効果」という視座で税理士選びを考えることは非常に重要です。
年商規模別の適正額の目安——小規模法人税務の現実
1人社長・年商1,000万円未満が払うべき適正額の考え方
設立直後の1人社長・年商1,000万円未満という段階で、月額5万円以上の顧問契約を結ぶ必要があるかというと、多くのケースでは不要だと私は考えています。この規模であれば、月額2万5,000円〜3万5,000円台で必要十分なサービスを受けられる事務所は存在します。
ただし、「安さ」だけで選ぶと後悔するリスクもあります。私が4社見積を比較した際、最も安かったA事務所はレスポンスが遅く、インバウンド民泊事業特有の外貨建て収入の処理について明確な回答が得られませんでした。業種の特殊性や取引の複雑さを事前に伝え、「その業種の経験があるか」を確認することが、適正な事務所選びの第一歩です。建設業特化の税理士選び|1人社長が3社面談で見極めた5基準
年商3,000万円超になったときの見直しタイミング
小規模法人として事業が成長し、年商が3,000万円を超えるタイミングは、顧問契約の内容を見直す好機です。消費税の課税事業者になる可能性が高まり(消費税法上、基準期間の課税売上高が1,000万円超で課税事業者となります)、インボイス制度への対応・消費税申告の実務負荷が一気に上がります。
また、売上規模が上がると法人税の実効税率も変化し、法人税法上の中小法人向け特例措置——年800万円以下の所得に対する軽減税率(原則15%)——を意識した利益コントロールが経営上の課題になってきます。こうした段階になると、月次訪問・試算表確認・節税策の検討(いずれも税理士が行う業務)を含む月額4万〜6万円台の契約が現実的な選択肢になります。個別ケースによって異なりますので、所轄税務署または担当税理士にご確認ください。
1人社長が選んだ最終契約の決め手——まとめとCTA
私が4社比較の末に重視した3つの判断基準
- 業種への理解度:インバウンド民泊・外貨建て収入・住宅宿泊事業法対応の経験があるかを確認した。料金だけで選ばず、担当者の専門性を最優先にした。
- 年間総額での比較:月額顧問料・決算料・消費税申告料・記帳代行料をすべて合算した年間コストで4社を並べ直した。月額の安さが年間では逆転するケースがあった。
- レスポンスの速さと相性:初回面談時の対応スピード・回答の明確さ・話しやすさを重視した。顧問契約は数年単位で続く関係であり、「人として話しやすいか」は費用と同等に重要な要素だと感じた。
最終的に私が選んだのはB事務所(月額3万5,000円・四半期訪問)でした。記帳は自分でクラウド会計ソフトを使って行うことで記帳代行費用をゼロにし、年間総額を50万円以内に抑えつつ、業種理解のある担当税理士とのコミュニケーションラインを確保しました。この選択が正しかったかどうかは、決算・申告が完了した段階で改めて評価するつもりです。
税理士探しを一人で抱え込まないために
税理士選びは、経営者にとって設立直後の最重要タスクの一つです。しかし、どの事務所が自社の業種・規模・予算に合っているかを自力で判断するのは、情報が少ない段階では非常に難しい。私自身、AFP・宅建士の資格を持ちながらも、自分の法人の税理士選びに相当な時間と労力をかけました。
もし「何社に当たればいいかわからない」「比較の軸が見えない」と感じているなら、税理士紹介サービスを活用するのも一つの現実的な手段です。条件を伝えて候補を絞り込んでもらえれば、見積比較の効率が大幅に上がります。中小企業の税理士顧問料の月額相場感をある程度つかんだ上で面談に臨めば、費用交渉や条件確認もスムーズに進みます。最終的な契約判断はご自身で行っていただくことが前提ですが、まずは相談の場を持つことをおすすめします。
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本記事は一般的な情報提供を目的としており、特定の投資・税務・法務行為を推奨するものではありません。記載内容は執筆時点の情報に基づきますが、最新情報や個別具体的な判断については、各分野の専門家(税理士・弁護士・宅建士・FP等)または公的機関にご相談ください。
【執筆・監修】
Christopher(AFP / 宅建士 / TLC)- 金融・不動産・法人実務の実体験ベースで執筆
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