結論から言うと、1人社長が顧問税理士に法人と個人の両方を依頼することは、初年度に限らず長期的に見ても理にかなった判断です。私自身、2026年に法人を設立した際、3社から見積を取って比較しました。この記事では、顧問税理士への法人・個人の両方依頼について、AFP・宅建士として、そして実際に1人社長として感じたリアルをお伝えします。
顧問税理士に法人・個人を両方依頼すべき3つの理由
法人と個人の申告は「連動」している
法人を設立しても、代表者個人の所得税・住民税の申告は別途必要です。法人税法上の役員報酬は損金算入できますが、その金額設定は個人側の所得税・社会保険料と密接に絡み合います。私が法人化の準備を進めていた時期、保険代理店勤務で担当していた経営者のお客様の多くが「法人だけ税理士に頼んで、個人の確定申告は自分でやっている」と話していました。しかし実態を聞くと、役員報酬の設定ミスや医療費控除・ふるさと納税との調整不足で余分な税負担が生じているケースが少なくありませんでした。
法人と個人の申告は別の手続きですが、役員報酬・配当・退職金の設定次第で双方の税負担が変動します。所得税法・法人税法の両面から整合性を取ることが重要で、これは同一の顧問税理士が担当することで精度が上がります。個別の税務判断は必ず税理士へご確認ください。
申告書類の整合性リスクを下げられる
法人と個人を別々の税理士に依頼すると、情報共有の漏れが起きやすくなります。たとえば、法人から個人への貸付金や、社宅・車両の按分処理は、法人税申告と個人の確定申告の両方に影響します。担当者が異なれば、それぞれの申告書の数字が矛盾するリスクが高まります。
私が税理士面談を行った際、3社のうち2社は「法人・個人の一括管理」を標準サービスとして提案してきました。残る1社は「法人のみ対応」の方針で、個人申告は別途相談とのことでした。この違いは、後述する料金差にも直結します。適正な申告処理であれば税務調査でも問題になりにくいという観点からも、一元管理のメリットは大きいと感じました。
3社見積で見えた顧問料の差――月額7万円の開きとその背景
実際に比較した3社の料金レンジ
私が2026年の法人設立にあたり、都内の税理士事務所3社から取得した見積の概要をお伝えします。なお、税理士事務所名は伏せます。
A社は「法人顧問料のみ」で月額2万円(決算料別途15万円)。個人申告は「別途都度対応、申告書作成5万円〜」という提示でした。B社は「法人+個人のセットプラン」で月額5万円(決算料込みで年間70万円前後)。C社は「小規模法人向けクラウド対応プラン」で月額3万円、個人申告は年1回2万円の追加料金という構成でした。
単純な月額だけを見ればA社が安く見えますが、個人申告を都度依頼すると年間コストはB社に近づきます。一方、C社は総額では割安ですが、面談頻度や対応スピードに制約がありました。最終的に私は、法人・個人の一括管理ができ、かつ面談回数が年4回確保できるプランを選びました。顧問料の差は表面上の数字だけで判断しないことが重要です。
顧問料比較で見落としがちな「決算料・スポット対応費」
顧問料の比較をする際、月額だけを見て判断すると後から痛い目に遭います。決算申告料は月額顧問料とは別に請求されることが大半で、相場は法人の場合10万〜30万円程度、個人の確定申告は3万〜10万円程度とされています(事務所規模や売上規模によって変わります)。
さらに、「消費税の課税事業者になった初年度」「税務調査が入った場合の対応費用」「融資サポート」などはスポット費用として別途発生する場合があります。私が契約前に確認したのは、「年間を通じてかかる費用の総額見込み」でした。この視点でA社・B社・C社を再計算したところ、最大で月換算7万円程度の差が生じました。1人社長にとってこの差は小さくないため、顧問料比較は年間総額ベースで行うことを強く推奨します。
AFP視点で補完する2領域――税理士だけでは届かない部分
キャッシュフロー設計と保険活用はFPが強い
税理士は税務の専門家ですが、保険を使ったキャッシュフロー設計や、個人資産の形成計画はFPの専門領域です。私がAFP資格を持ち、大手生命保険会社と総合保険代理店で計5年間、経営者・富裕層の保険×税務相談を担当してきた経験から言えば、この2領域はしばしば混同されます。
たとえば、法人契約の生命保険を活用した出口戦略(解約返戻金の計上タイミングと役員報酬調整の組み合わせ)は、税務知識と保険設計の両方が必要です。税理士がすべてをカバーできるわけではなく、FP・保険アドバイザーと連携することで精度が高まります。広告代理店の税理士顧問選び|1人社長が月額5万円で契約した実体験もちろん、具体的な税務判断は必ず税理士に確認することが前提です。
宅建士としての視点――不動産収入がある1人社長の注意点
私が運営するインバウンド民泊事業のように、法人で不動産関連事業を行う場合、宅地建物取引業法・旅館業法・住宅宿泊事業法といった法規制との整合性が必要です。さらに、不動産所得・事業所得・法人所得の区分や、消費税法上の課税・非課税の判断は複雑です。
宅建士として不動産取引の実務知識があるからこそ、「この収入はどの科目で処理されるか」「法人・個人どちらで受けるべきか」という問いを税理士面談の場で具体的に投げかけられます。顧問税理士を選ぶ際、不動産や民泊収入がある場合は「その業種の申告実績があるか」を必ず確認してください。
初年度の同時申告で実感した5つの注意点
設立初年度は「期ズレ」と「届出期限」が特に重要
法人設立初年度は、通常の事業年度と異なる点が多く、申告上のリスクが集中します。私が実際に顧問税理士との打ち合わせで確認した注意点を整理します。
- 役員報酬は設立後3か月以内に金額を確定する(定期同額給与の要件)
- 消費税の課税事業者選択届出書の提出期限(設立初年度は原則として設立日から2か月以内)
- 青色申告承認申請書の提出(設立後3か月以内、または最初の事業年度終了日の前日のいずれか早い日まで)
- 個人の確定申告時期(翌年3月15日)と法人決算時期が重なる場合の工数
- 法人設立前の個人事業期間の廃業届・最終申告との連携
これらを顧問税理士と事前に共有しておかないと、初年度から期限管理ミスが起きます。私の場合、顧問契約締結時に「年間スケジュール一覧」を書面でもらうことを条件にしました。これが実際の運営でとても役立ちました。
個人と法人の「役員報酬最適化」は初年度から設計する
個人と法人の両方を同一の顧問税理士に依頼する最大のメリットは、役員報酬の設計を一体で考えてもらえることです。役員報酬が高すぎれば個人の所得税・住民税・社会保険料負担が増し、低すぎれば法人の内部留保が増える一方で個人の生活資金に影響します。
初年度は売上見込みが不確定なため、役員報酬の設定は慎重を要します。私の顧問税理士は「最初は低めに設定して期中に増額しない。翌年度から実績ベースで見直す」という方針を提案してくれました。この判断は個別の状況によって異なりますので、必ず担当税理士と相談の上で決定してください。顧問税理士は50代60代で違うか|1人社長が4名面談で実感した5視点
顧問契約時に確認すべき5基準とまとめ
私が3社比較で導いた「外せない5基準」
- 法人・個人の両方を一括管理できる体制があるか:担当者が同一か、チームとして一元管理されているかを確認する
- 自分の業種の申告実績があるか:民泊・不動産・IT・飲食など業種特有の税務処理に対応できるかを聞く
- 年間総額コストが明示されているか:月額顧問料だけでなく決算料・スポット費用の目安も確認する
- 面談頻度とレスポンス速度が自分のニーズに合うか:1人社長は質問が多くなりがち。月1回以上の面談か、チャット対応可否を確認する
- 税理士紹介エージェントや比較サービスを通じて複数社を比較しているか:1社だけの相談では相場感が分からない。最低3社との面談を推奨する
顧問税理士の選び方に「唯一の正解」はなく、事業規模・業種・経営スタイルによって有力な選択肢は変わります。最終的な判断は、複数社と面談した上で、自分の状況に詳しい税理士と相談して決めることを強く推奨します。
税理士探しは「比較」から始めるのが近道
私が3社の見積を取るにあたって活用したのが、税理士紹介エージェントサービスです。自分で一から税理士を探すと、「どの事務所が自分の業種に強いか」「料金相場はどのくらいか」が分かりにくく、時間もかかります。紹介サービスを使うと、条件を伝えることで条件に合った事務所を複数紹介してもらいやすくなります。
紹介サービス自体は一般的に無料で相談できるものが多いですが、成約後に紹介手数料が発生する仕組みのものもあります。利用前に仕組みを確認しておくと安心です。1人社長として、顧問税理士に法人・個人の両方を依頼することを検討しているなら、まず複数社の比較から始めてください。税務の最終判断は必ず税理士・専門家に確認することを忘れずに。
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本記事は一般的な情報提供を目的としており、特定の投資・税務・法務行為を推奨するものではありません。記載内容は執筆時点の情報に基づきますが、最新情報や個別具体的な判断については、各分野の専門家(税理士・弁護士・宅建士・FP等)または公的機関にご相談ください。
【執筆・監修】
Christopher(AFP / 宅建士 / TLC)- 金融・不動産・法人実務の実体験ベースで執筆
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