法人化の登録免許税計算で「思っていたより安くならなかった」と感じた経験はありませんか。私は2026年に資本金100万円で株式会社を設立しましたが、事前の試算が甘く、設立コスト全体で想定外の出費が生じました。この記事では、登録免許税の基本計算式から資本金別シミュレーション、税理士相談で固めた5つの算定軸まで、1人社長の実体験を軸に解説します。
登録免許税の基本計算式と資本金の関係
計算式の根拠は登録免許税法別表第一
株式会社を設立する際の登録免許税は、登録免許税法別表第一(第24号)に根拠があります。計算式は「資本金の額×0.7%」が原則で、この計算結果が15万円を下回る場合は15万円が最低税額として適用されます。
たとえば資本金100万円であれば、100万円×0.7%=7,000円となりますが、15万円の最低税額が適用されるため、実際の登録免許税は15万円です。資本金が約2,143万円を超えて初めて「資本金×0.7%」が15万円を上回り、最低税額ルールの影響から外れます。
1人社長として法人化を検討する場合、資本金を抑えがちですが、資本金の大小にかかわらず15万円は必ずかかると考えておく必要があります。
株式会社と合同会社で税額は異なる
同じ法人化でも、株式会社と合同会社では登録免許税の最低税額が異なります。合同会社(LLC)の場合、資本金×0.7%の計算式は同じですが、最低税額は6万円です。この差額9万円は、設立コスト試算において無視できない金額です。
ただし、合同会社は定款認証が不要で公証役場費用(株式会社は約5万円)が不要な点も含めると、設立にかかる総費用では合同会社の方が抑えられるケースが多くなります。
事業目的・対外的な信用・将来の資金調達方針によって選択肢は変わります。どちらが自社の実態に合うかは、税理士への相談を通じて判断することを推奨します。
資本金別・登録免許税シミュレーション
主要な資本金帯での税額一覧
実際に設立コストを試算するうえで、資本金帯ごとの登録免許税額を把握しておくことは欠かせません。以下に主要な資本金帯での株式会社の登録免許税をまとめます。
- 資本金1円〜約2,142万円:15万円(最低税額適用)
- 資本金2,143万円:約15万円(0.7%がちょうど15万円を超えるライン)
- 資本金3,000万円:21万円
- 資本金5,000万円:35万円
- 資本金1億円:70万円
1人社長の法人化では資本金100万円以下に設定するケースが多く、その場合は登録免許税は一律15万円です。資本金を増やしても約2,143万円未満であれば税額に変化はないため、「節税目的で資本金を下げる」という発想は登録免許税の観点では意味をなしません。
設立費用の全体像:登録免許税だけでは語れない
株式会社設立費用の全体は、登録免許税(15万円)に加えて、定款認証費用(公証役場手数料3〜5万円+謄本費用等)、定款用収入印紙代(電子定款なら不要)、司法書士や行政書士への報酬(自分でやる場合は不要)などが積み上がります。
私が実際に設立した際、電子定款を利用したため収入印紙4万円は節約できましたが、公証人手数料・謄本費用で約3万2,000円かかりました。登録免許税15万円と合算すると、法定費用だけで約18万円超が確定コストです。
株式会社設立費用の総額を正確に把握するためには、自分で登記するか専門家に依頼するかも含めて、事前に設立コスト試算を行うことが重要です。広告代理店の税理士顧問選び|1人社長が月額5万円で契約した実体験
私が設立時に直面した誤算と気づき
「資本金を低く設定すれば登録免許税も下がる」という思い込み
私はAFP資格を持ち、保険代理店時代に経営者の財務相談を担当してきましたが、自分の法人設立では思わぬ誤算をしました。設立前の段階で「資本金100万円なら登録免許税は7,000円程度だろう」と計算していたのです。
登録免許税法の最低税額ルールを失念していた、というのが正直なところです。事前に税理士へ相談していれば防げたミスでした。実際には15万円がかかり、設立コスト全体の試算がずれ込みました。
この経験から、法人化のコスト試算は必ず税理士または専門家に依頼するか、少なくとも相談したうえで進めるべきだと実感しました。AFP・宅建士として財務知識はあるつもりでも、税法の細則は税理士の専門領域です。
税理士との面談で初めて気づいた均等割の存在感
設立後に税理士と顧問契約を締結した際の最初の打ち合わせで、私が大きな気づきを得たのが「法人住民税の均等割」でした。東京都の場合、資本金1,000万円以下かつ従業者数50人以下の法人であれば、均等割は都民税7万円+特別区民税5万円の合計7万円(区市町村部分含む合計で年間約7万円)が毎年発生します。
正確には、東京23区内であれば均等割は都税事務所への申告で年間7万円(標準税率)です。赤字の年でも、売上ゼロの年でも発生するこの固定コストを、設立前のシミュレーションに入れていない1人社長は少なくありません。
税理士から「設立初年度から均等割が発生します。設立月によっては初年度分が月割りになる場合もありますが、翌年以降は満額かかります」と指摘されたとき、設立タイミングの重要性を初めて実感しました。個別の税額は自治体・事業年度によって異なるため、所轄税務署または税理士へ確認することを推奨します。
税理士相談で固めた5つの算定軸
算定軸①〜③:設立時に確定すべきコスト要素
税理士との面談を通じて、私が「これは設立前に確定させるべき」と学んだ算定軸が5つあります。前半の3つを先に整理します。
算定軸①:資本金額と最低税額の関係。前述のとおり、約2,143万円未満であれば登録免許税は一律15万円です。資本金決定時にこの閾値を意識することが、設立コスト試算の土台になります。
算定軸②:株式会社か合同会社かの選択。登録免許税の最低税額が6万円か15万円かで9万円の差が生じます。事業の性質・信用力・将来計画を踏まえて選択し、税理士に相談のうえ決定することを推奨します。
算定軸③:電子定款の活用による収入印紙4万円の節約。紙の定款では収入印紙4万円が必要ですが、電子定款にすることで節約できます。ただし電子定款作成には専用ソフトや環境が必要なため、司法書士・行政書士への委託コストとの比較が必要です。
算定軸④〜⑤:設立後の継続コストと税務リスク
算定軸④:均等割を含む年間固定コストの試算。登録免許税は一度きりですが、均等割は毎年発生します。設立コスト試算には「初年度だけのコスト」と「毎年かかるコスト」を分けて把握する視点が不可欠です。
私の場合、税理士顧問料(月額2〜3万円程度の事務所と契約)+決算申告料(年1回、別途5〜10万円程度が相場感)+均等割(年約7万円)が毎年かかるランニングコストとして試算されました。
算定軸⑤:設立タイミングと事業年度の設計。設立月によって初年度の事業年度が短くなり、均等割が月割り適用になるケースがあります。また、消費税の課税事業者判定の基準期間にも影響するため、設立タイミングは税理士に相談して決めることが有効です。
この5つの算定軸を事前に整理しておくだけで、法人化後の「想定外コスト」のリスクを大幅に下げられます。ただし、税額の最終確認は必ず税理士または所轄税務署へ行ってください。顧問税理士は50代60代で違うか|1人社長が4名面談で実感した5視点
まとめ:登録免許税計算と設立コスト試算の正しい進め方
1人社長が法人化前に確認すべきポイント
- 登録免許税は資本金×0.7%と15万円を比較し、高い方が適用(株式会社の場合、約2,143万円未満なら一律15万円)
- 合同会社は最低税額6万円で、定款認証費用も不要のため総設立コストを抑えやすい
- 電子定款を活用すれば収入印紙4万円を節約できる可能性がある
- 均等割(東京23区で年約7万円・標準)は赤字でも毎年発生する固定コストとして試算に組み込む
- 設立タイミングは事業年度設計・消費税課税判定に影響するため、税理士への事前相談が有効
- 登録免許税の最終確定額は税理士または所轄税務署への確認が不可欠
税理士への相談が設立コスト試算の精度を高める
私がAFP・宅建士として財務知識を持ちながらも、自分の法人設立で登録免許税の最低税額ルールを失念した経験は、専門知識と実務対応の違いを痛感させるものでした。計算式を「知っている」ことと、「自分のケースに正しく当てはめて試算できる」ことは別です。
1人社長の法人化においては、設立コスト試算の段階から税理士に相談することで、登録免許税・均等割・消費税課税判定・顧問料を含めた年間コストの全体像が初めて正確に見えてきます。私は複数社の税理士事務所に見積もり・面談を行い、相性と費用感を比較したうえで契約先を決めました。その手間を省かなかったことが、設立後の安心感につながっています。
税理士探しに時間をかけられない方や、どこに相談すればよいか迷っている方には、税理士紹介サービスの活用も一つの手段です。複数の税理士事務所を比較検討したい方は、ぜひ以下から相談してみてください。
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本記事は一般的な情報提供を目的としており、特定の投資・税務・法務行為を推奨するものではありません。記載内容は執筆時点の情報に基づきますが、最新情報や個別具体的な判断については、各分野の専門家(税理士・弁護士・宅建士・FP等)または公的機関にご相談ください。
【執筆・監修】
Christopher(AFP / 宅建士 / TLC)- 金融・不動産・法人実務の実体験ベースで執筆
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