法人設立で行政書士と司法書士、どちらに依頼すべきか迷っていませんか。私はAFP・宅地建物取引士として保険×税務相談に長年携わり、2026年に自ら株式会社を設立した際、両者の専門家に実際に見積を依頼し、業務範囲の違いを身をもって確認しました。この記事では、1人社長の法人化を検討するあなたに向けて、法人設立における行政書士と司法書士の役割・費用・使い分けの5基準を実体験ベースで解説します。
行政書士と司法書士の業務範囲の違い
行政書士が担当できる範囲とその限界
行政書士は、官公署へ提出する書類の作成を主たる業務としています。法人設立の場面で言えば、定款の作成が代表的な仕事です。定款は会社の憲法とも呼ばれる根幹書類であり、事業目的・所在地・資本金・発行可能株式総数などを記載します。
ただし、行政書士には登記申請を代理する権限がありません。定款を作成した後、その定款を法務局へ持ち込んで登記申請まで行えるのは司法書士または本人(会社設立者本人申請)に限られます。行政書士に依頼する場合は、定款認証まではサポートを受けられますが、登記申請の部分は別途司法書士に依頼するか、自分で行う必要があります。
司法書士が担当できる範囲と独占業務
司法書士の独占業務は登記申請の代理です。株式会社の設立登記を法務局へ申請する行為は、司法書士のみが有償で代理できます。つまり、法人設立の手続きを一括して専門家に任せたい場合は、司法書士への依頼が合理的です。
司法書士事務所の多くは定款作成も受任しています。定款作成→公証役場での認証→登記申請までをワンストップで対応できる点が、司法書士に依頼する大きな利点です。一方で、司法書士は許認可申請(飲食店営業許可・建設業許可・旅館業許可など)は業務範囲外であり、そちらは行政書士の担当です。
私が法人設立で両方の専門家に見積を取った話
資本金100万円・株式会社設立で直面した見積の差
私が自社を設立した2026年、最初に相談したのは都内の行政書士事務所でした。インバウンド民泊事業を運営する関係で旅館業許可申請も同時に必要だったため、行政書士への相談は避けられない状況でした。
行政書士からの見積は、定款作成・認証サポートで税込み5万5,000円前後。ただし、「登記申請は司法書士にお願いしてください」と明確に言われました。追加で司法書士を探し、登記申請代理の費用として税込み8万〜10万円の見積を複数社から取得しました。両者に別々に依頼した場合の合計は14万〜16万円前後になる計算です。
次に、司法書士事務所に定款作成から登記申請まで一括で依頼した場合の見積を取ると、税込み12万〜14万円のレンジでした。ワンストップで依頼できる分、窓口が一本化されてやり取りの手間が減ります。私は最終的に司法書士に一括依頼し、旅館業許可申請部分だけ行政書士に依頼する形に落ち着きました。
法人印を相場の2倍で買った失敗と専門家選びの教訓
法人設立時に痛い思いをした話があります。司法書士事務所が紹介してくれた法人印セット(代表者印・銀行印・角印の3点セット)を、勧められるままに購入したところ、費用が税込み4万8,000円でした。後から調べると、同等品質の印鑑セットがオンライン専門店では2万円台前半で購入できることを知りました。
法人印の相場は素材や品質によって幅がありますが、一般的なチタン製3点セットで2万〜3万円台が目安です。私が購入したのはその約2倍の水準でした。専門家選びにおいて、本業の報酬だけでなく付随商品・サービスの価格感覚も確認することが重要だと、この経験で学びました。法人設立の専門家選びでは、見積書の内訳を細かく確認し、印鑑・定款印紙代・謄本取得費用などの実費と報酬を分離して比較することをお勧めします。
定款認証の依頼先と電子定款の活用
紙定款と電子定款で4万円の差が生まれる仕組み
定款認証の際、紙の定款を使う場合は収入印紙4万円が必要です。一方、電子定款(電磁的記録定款)で公証役場に認証を受ける場合、この収入印紙代が不要になります。つまり、電子定款を利用できる行政書士または司法書士に依頼することで、4万円のコスト削減が見込まれます。
ただし、電子定款の作成には専用ソフトウェアと電子証明書が必要です。個人でゼロから環境を整えるには一定のコストと時間がかかるため、電子定款に対応した専門家に依頼する方が現実的です。1人社長の法人化を検討する場合は、依頼先が電子定款に対応しているかどうかを、最初の問い合わせ時に確認してください。
公証役場での定款認証に必要な費用の実態
公証役場での定款認証自体には、公証人手数料として約5万円が別途かかります(資本金等の額に応じて若干変動します)。この費用は行政書士・司法書士に依頼しても自分で動いても同額であり、削減できない実費です。
法人設立にかかる費用を整理すると、株式会社の場合、定款認証手数料(約5万円)・登録免許税(最低15万円、資本金が1,500万円を超える場合は資本金×0.7%)・その他実費を加えると、法定費用だけで20万〜25万円程度になります。専門家報酬はこれに上乗せされる点を前提に予算を組む必要があります。アフィリエイト法人化|月収300万継続で決断した実体験
登記申請の権限と1人社長が注意すべき点
本人申請は可能だが時間コストを正確に試算すること
会社設立の登記申請は、設立者本人が法務局へ直接申請することも可能です。費用だけを見れば専門家報酬を節約できますが、私が保険代理店勤務時代に担当した経営者の方々の話を聞く限り、書類の不備による補正対応や法務局への往復は想定以上に時間を取られるケースが多かったです。
1人社長の場合、自分の時間単価を意識することが特に重要です。たとえば司法書士報酬として8万円を支払うとしても、自分で動いた場合に失う時間が10時間以上であれば、時間あたりの価値を考えると外注が合理的な選択になることがあります。本人申請か専門家依頼かは、費用の絶対額だけでなく機会費用も含めて判断してください。
登記完了後に必要な税務・社会保険手続きを見落とさない
登記が完了した後にも、設立届(法人税法・消費税法に基づく各種届出)、青色申告の承認申請、給与支払事務所等の開設届など、税務署・都道府県税事務所・市区町村への届出が複数あります。これらは税理士が対応する領域であり、司法書士や行政書士の業務範囲外です。
私は法人設立後すぐに顧問税理士を決め、これらの届出を委任しました。設立から最初の決算までの間に提出を要する書類は10種類を超えることもあり、税理士に任せることで抜け漏れを防げた実感があります。登記が終わって終わりではなく、税務手続きが本番だという認識を持っておくことが重要です。法人設立の資本金100万円は平均的?1人社長が税理士と検証した5論点
税理士を加えた専門家選びの5基準とまとめ
行政書士・司法書士・税理士を選ぶ5つの判断基準
- 基準1:許認可が必要かどうか 飲食・建設・旅館業など許認可が必要な事業は行政書士が不可欠。不要であれば司法書士一本で定款作成〜登記申請まで完結できます。
- 基準2:電子定款対応の有無 4万円の収入印紙代を節約できる電子定款に対応しているか、最初の問い合わせで確認することです。
- 基準3:費用の内訳が明示されているか 専門家報酬・実費(登録免許税・公証人手数料)・付随商品(法人印など)を分離して提示してくれる事務所を選びます。私のように印鑑で割高な買い物をしないためにも、内訳の透明性は重要な判断軸です。
- 基準4:税理士との連携体制があるか 登記後の税務届出・決算・法人税申告を見据えると、司法書士・行政書士と税理士がネットワークを持っている場合、紹介がスムーズです。ただし紹介された税理士が自分に合うとは限らないため、複数の税理士を自分でも比較することを推奨します。
- 基準5:1人社長の案件に慣れているか 小規模法人の設立は書類の構成がシンプルな反面、役員報酬設計や事業目的の記載が後の税務・許認可に影響します。1人社長の法人化を多く扱っている事務所を選ぶことで、こうした観点からのアドバイスを受けやすくなります。
法人設立後の税理士選びを後回しにしない理由と相談窓口
私がAFP・宅建士として保険代理店に勤務していた頃、法人化した直後に税理士選びを後回しにして、設立1期目の届出期限を過ぎてしまった経営者を複数件見てきました。青色申告の承認申請は設立の日から3か月以内(消費税の課税事業者の選択届など期限が異なるものもあります)という期日が定められており、乗り遅れると節税効果が見込まれる特典を受けられなくなることがあります。詳細は所轄の税務署または顧問税理士に確認してください。
法人設立と同時に税理士選びを進めることが、1人社長にとって有力な選択肢の一つです。特に初めての法人化では、税理士を早期に確保しておくことで、届出の抜け漏れ防止・役員報酬設計・初年度の節税対策検討(節税効果が見込まれるかは個別事情により異なります)を専門家に相談しながら進めることができます。私自身、顧問税理士との面談を設立登記の申請と並行して進めたことで、法人設立後の手続きをスムーズに終えられました。最終的な税務判断は税理士へ相談することを強くお勧めします。
税理士選びに迷う場合は、創業期の法人に強い税理士を紹介してもらえる相談窓口を活用するのも現実的な方法です。個別の事情により合う税理士は異なりますので、複数の候補と面談した上で判断してください。
本記事は一般的な情報提供を目的としており、特定の投資・税務・法務行為を推奨するものではありません。記載内容は執筆時点の情報に基づきますが、最新情報や個別具体的な判断については、各分野の専門家(税理士・弁護士・宅建士・FP等)または公的機関にご相談ください。
【執筆・監修】
Christopher(AFP / 宅建士 / TLC)- 金融・不動産・法人実務の実体験ベースで執筆
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